排尿と畜尿のしくみ
①膀胱に一定量の尿が溜まり、膀胱内圧が15~20mH2O以上になると、尿期を感じるととも に排尿反射が起こり、尿は体外に排泄される。(膀胱の最大畜尿量は約300~400ml)
②膀胱内圧が一定以上になると、その情報は骨盤神経を介して仙髄にある排尿中枢(=下位排 尿中枢)に伝達され、反射的に排尿筋の収縮と内尿道括約筋の弛緩が起こる(排尿反射)。
③一方、この情報は脊髄を上行して大脳に伝達され(尿意を知覚)、橋にある上位排尿中枢に 排尿の指示を送る。さらに下位排尿中枢は大脳からの指令をうけて、陰部神経を外尿道括約 筋を弛緩させ、排尿が行われる。
④さらに腹圧を高めることで排尿は促進される
頻尿の定義
排尿回数が多いこと(1日10回以上)を頻尿という。結果的に1回尿量は減少する。 正常排尿回数は1日4~9回程度。頻尿では、1時間半ごとにトイレに行く計算。 夜間尿の正常回数は、壮年前は0回、老人では1回。夜間2回以上が夜間頻尿。
・正常1日尿量は800~1500ml 排尿回数5~6回/日 ・正常1回排尿量は200~300ml
過活動膀胱
1)概念 過活動膀胱とは、2002年パリで開催された国際尿禁制学会で認められた新しい疾患名である。 健常者は400~500mlを蓄尿できるが、過活動膀胱では、100ml前後の尿がたまると膀胱が収 縮し、尿意をもよおし我慢できなくなる。また過活動膀胱は、膀胱が尿で満杯になる以前に、 膀胱が自分の意思に反して、勝手に収縮し尿失禁をおこす
2)症状 3大症状は、尿意切迫感、頻尿、切迫性尿失禁。 尿意切迫感のない頻尿や、腹圧性尿失禁は、過活動膀胱に含めない。 膀胱癌、膀胱結石、膀胱炎などの疾患を除外して診断する。
3)分類 ①神経因性過活動膀胱:脳脊髄疾患により、橋排尿中枢をコントロールできなくなり、膀胱に 少量でも尿が畜まると、この排尿中枢が興奮し、膀胱が収縮しやすくなる。 ②非神経因性過活動膀胱(旧称:不安定膀胱):下部尿路閉塞(前立腺肥大、膀胱頸部硬化症、 尿道狭窄など)、骨盤底筋群の脆弱化、加齢などの原因による。
4)薬物治療 膀胱収縮をつかさどるアセチルコリンの受容体をブロックし、膀胱の緊張を低下させて 尿意切迫感・頻尿・尿失禁を改善させる目的で、抗コリン剤を使用
多尿になる疾患 尿量増加し、結果として頻尿になる状態。昼夜とも多尿となるのは、糖尿病と利尿剤が代表。 尿崩症も多尿になるが、非常にまれな病気