1)原因 外からのいろいろな刺激に対する鼻粘膜のアレルギーⅠ型反応」 すなわちアレルゲンがIgEと結合してマスト細胞からヒスタミン等の刺激物質が放出されて 症状出現する。 本来なら、鼻粘膜に付着したアレルゲンは、洗い流され外に出るはずだが、感冒症状や排気 ガス等で鼻粘膜に障害があると、アレルギー反応を呈してしまう。 通年性鼻アレルギーのアレルゲン:ハウスダスト、ダニ、真菌類 季節性鼻アレルギーのアレルゲン:花粉(2月~4月上旬→スギ~4月下旬→ヒノキ)
2)症状 ①反復性くしゃみ、②、多量の水様性鼻汁、③鼻閉(発作時)
※ヒスタミンの作用 分泌腺に作用:分泌過多(鼻腺分泌は副交感神経優位支配) 神経に作用:かゆみ、くしゃみ(鼻粘膜に分布する三叉神経刺激による)
鼻アレルギー者の1/3に、副鼻腔炎が合併
鼻茸:副鼻腔炎に合併。副鼻腔炎で膿が流出する時、副鼻腔出口の粘膜も押し出されて寒天 様になり浮腫を生ずる。これが繰り返され、粘膜の一部が浮腫→腫瘤になる。鼻閉が 生ずる。手術で摘出するのは容易だが、再発しやすい
アレルギーの針灸治療 鼻アレルギーの3大症状は、鼻閉・水様性鼻汁・反復性くしゃみである。スギ花粉症ではこれ に加えて、鼻から眼にかけての掻痒感が生ずる。 鼻アレルギーは、アレルゲンに対して、鼻粘膜が非常に過敏に反応することで起こるが、鼻ア レルギー者に頸部交感神経刺針を行うと、ヒスタミンに対する反応性が低下するものの、皮内テ ストやIgE抗体量には変化がみられない。このことから頸部交感神経刺針は、鼻粘膜過敏性 の抑制効果があるといえる
慢性副鼻腔炎(蓄膿症)
1)副鼻腔とは ①前頭洞、上顎洞、篩骨洞、蝶形骨洞の4種ある。うち上顎洞が最大。 ②鼻腔に接する頭蓋内の空洞で、開口部が鼻腔とつながる。 上鼻道の開口:篩骨洞(後部) 中鼻道に開口:上顎洞、前頭洞、篩骨洞(前部、中部) 下鼻道に開口:鼻・涙管 蝶形骨前洞窟に開口:蝶篩陥凹 ・副鼻腔の脆弱性について 副鼻腔の開口部は洞の下方にあるのが普通なので、分泌物も溜まりにくい。しかし上顎洞 だけは上方に開口部があり、分泌物や膿が貯留しやすい。←人間の直立姿勢のため
①慢性単純性鼻炎 鼻腔粘膜組織は海綿体構造であり、鼻甲介は生理的に膨 張収縮を繰り返しているが、本症は鼻腔粘膜に軽度の発赤 腫脹が持続する状態。交代性鼻閉(側臥位で下側が鼻閉)。 血管収縮剤(交感神経刺激剤アドレナリン)有効。 ②慢性肥厚性鼻炎 鼻甲介とくに下鼻甲介が粘膜下結合織増殖により肥厚し た状態。恒常的な片側性鼻閉。血管収縮剤無効