慢性メニエール病
メニエール病の活動期と安定期を長期間繰り返しているうちに、症状か慢性化する状態であ る。めまい発作を繰り返すうちに、ライスネル膜は厚くなるので、膜の破綻は起きにくくなる が、内外のリンパ圧が違うことで、コルチ器が正常に機能せず、持続的な難聴・耳鳴を生ずる ようになる。 めまいの発信源となっている前庭器官は機能低下を中枢が代償するようになるので、めま い発作は起こらなくなる。 機能低下は蝸牛管にも起こり、蝸牛管は、その機能を代替できる器官がないため、慢性メニ エールでは、恒常的な難聴(感音性)・耳鳴りが主訴となってくる
良性発作性頭位めまい
1)原因 耳石器が老化(=カルシウム不足)によ りもろくなり、耳石片が剥がれて三半規管 の中に混入し浮遊するために、頭が動くた びにリンパ液の流れ方に異常が生じてしま う。この耳石器からの誤情報と眼からの情 報にズレが生ずると、激しい回転性めまい が生ずる。 頭を動かすたびに目まいが起こるので不安感や恐怖感が起こり、本人は非常に疲れる。高齢 者に多い。回転性めまいで最も高頻度(めまいの8割)。放置すれば2週間~1ヶ月で結石が 融解し、自然治癒する
2)症状 ①一定の頭位によって発作性の回転性めまいが誘発され、30秒ほどすると自然消滅。 ②難聴・耳鳴は随伴しない。 ③減衰現象(+)(ある特定の方向を向いて、数秒後にめまいが出現するが、これを繰り返す うちに、めまいが弱くなってくる) 3)所見 めまい発症時は眼振(+)。 頭位眼振(+):仰臥位で顔を左右に向かせた際、水平眼振が誘発される
垂直性眼振では中枢性のめまいを疑う。危険なめまいのサイン。 R/O 小脳性めまい:小脳が障害されても、良性発作性頭位めまい様の症状が起こる。この原因として、老 化や外傷、長年の大酒による小脳の萎縮、脳血管障害、脳腫瘍があげられる。動的平衡障害出現し、 指-鼻試験が陽性で小脳異常の有無をチェックすること
頚性めまい
1)症状
頚部筋の過緊張等に由来したフラフラ感で、非回転性めまい。頚部の回転または伸展により フラッとる。歩行時にフワフワして足が地面につかなきような感じ、真っ直ぐに歩くつもりで も、片一方に寄ってしまうような感覚などを生ずる
2)病態生理
頚部の筋・椎間関節問題、頚部交感神経緊張との関係、椎骨動脈血流不全との関係が想定 されている
3)所見
①高率に首コリの訴えが随伴しているほか、不眠・頭痛・ストレスなどの不定愁訴が多い。 ②頚部神経根テスト(ジャクソン、スパーリング)が陽性化していることがある。 ③仰臥位で、頚を左右に向かせると、眼振出現することがある