<冷え性を伴う疾病の鑑別> 冷え性の訴え 朝の寝覚めがつらい→低血圧症 動悸、息切れあり→貧血 婦人科手術後、更年期女性、発汗過多、のぼせ→更年期障害 徐脈、肥満傾向、色黒→甲状腺機能低下症 機能性の冷え症
骨盤内循環不良 ①病態生理 女性の骨盤内臓器は、男性のそれに比べて、構造的に循環障害をきたしやすい。その典型 的所見は、左下腹部にみる小腹急結の腹証であろう。骨盤内瘀血があると、それより末梢の 血流も悪くなるので、腰から下の下半身全体に冷えが出現しやすい。さらに骨盤内瘀血は、 婦人科疾患や不妊症などの素因を形成する。 ②治療:骨盤内瘀血の改善を目標とする。 a.漢方薬の駆瘀血剤(桃核承気湯、加味逍遙散、当帰芍薬散、桂枝茯苓丸など) b.下腹部、腰部、仙骨部を中心とした針灸治療
3.機能的冷え症と日常防寒対策 疾病に附随する「冷え」は少数派であり、多くは非器質的な原因による冷えである。 冷えの感受性は、次の機序になると思われる。 代謝亢進、筋ふるえ ↑ 外気温低下→ 寒さのセンサー(首、手、足)が感受→ 「寒さ」の大脳皮質認識 ↓ 手足の末梢血流量低下
①「寒さ」知覚の鈍化 「身体が冷える」とする感覚は全身的なものだが、とくに首・手掌・足底の、寒冷の知覚に よる。寒く感じないためには、マフラー、手袋、厚手靴下の着用を行う。 ※マフラーの効用:首には温度を感じるセンサーがあり、首が温まれば視床下部は、現在の外気温は 温かいと判断し、四肢の動静脈吻合が閉じ、血液は末端まで回る
②体熱を逃がさない工夫 末梢動脈血管壁には自律神経がまとわりついており、寒冷時は生理的に交感神経が興奮し て血管壁の筋を収縮させ、内腔を狭めることで熱が逃げるのを防いでいる。核心温度を維持 するためであり、その犠牲として手足が冷えることになる。熱を逃がさない工夫として、日 常では厚着や腹巻きが行われる
③熱量生産不足 体幹部核心温度低下防止のため、身体の産生熱量を増加させようとする。体温を作り出す 源は内臓(とくに肝臓)と骨格筋(ふるえ熱)であるが、代謝亢進するためには、甲状腺刺 激ホルモンや副腎髄質のカテコルアミン分泌が増加する。 日常的には、身体運動(ジョギングやスポーツ)による骨格筋からの熱エネルギーが知ら れる。また外部から熱補給のため、温熱カイロの使用、温かい食物の摂取が行われる。 ※足指体操:足指で、グーチョキパーの動作をする。左右個別に10回。両方一緒に10回。 足指間に手指を挟んで広げる(10秒間)、手指で足指を握る(10秒間)