妊娠嘔吐(つわり)
1)病態 妊娠初期の6~7週で現われ1~2ヵ月続く吐気、むかつき。とくに早朝空腹時に 強い(Morning Sicknessとよぶ)。妊娠の初期症状。妊婦の2 / 3に起こる。つわりの 程度がひどいものを妊娠悪阻(つわり者の1%)とよぶ。 ※語呂つわりの時期:つわりは胸苦(6~7週)しい
2)原因 妊娠すると、妊娠を維持するために黄体ホルモンが出続け、このホルモンの影響で 消化器系の運動性が低下することで、つわりが生ずる。また胎盤性ゴナドトロピンが 分泌され、CTZ仲介により嘔吐中枢を刺激するとされる
妊娠により胎児という異臓器が体内に存在することによる、一種の拒否反応だとする考え方も できる。妊娠初期は流産しやすく、「つわり」があることで安静を保持できるという面もある
3.胎児位置異常(逆子)
1)病態 正常な胎位は後頭位であり、後頭部から産道を出てく る。逆子とは、骨盤位のことである。胎児が小さいうちは 子宮の羊水内で自由に位置を変えている。次第に胎児が成 長するにつれ子宮に余分なスペースがなくなり、胎児の位 置が固定化してくる妊娠7ヶ月頃になると、逆子の有無が 確定できる(妊娠3 0週の時点で2 0%は逆子)。逆子は 7~8ヵ月で自己回転する可能性がある。 逆子であることは、妊娠中のトラブルにはならないが、骨盤位での分娩の児死亡率は5%で、 これは頭位分娩時の死亡率の2~5倍になる。→帝王切開による分娩を選択することが多い
2)現代医学治療 逆子と初めて診断されるのは妊娠21~27週ごろで、妊娠後期の2 8週以降の妊婦が、逆子 治療の対象となる。(妊娠30週頃、胎児の30%は逆子であり、10ヶ月に入る頃は 3~5%程度に下がる) ・出産までは逆子体操を続けて、自然に正常位になるのを期待する。 ・外回転術:正常位にするために、外から胎児の位置を矯正しようとする。この場合 には胎児仮死や胎盤剥離の危険があるので帝王切開ができる準備をして行なう。 最近では危険の伴う外回転術はあまり行われず、帝王切開での分娩が増加している