不妊症
定義 3年(2年以上という意見もある)を越えて妊娠しない場合。 正常な夫婦生活では、1年で約80%、2年で約90%が妊娠する
原因 不妊の原因は女性側1/2、男性側1 /4、 不明1/4。大部分は機能性不妊症である
女性不妊症 最多は子宮内膜症(1 / 4)、 卵管通過障害、黄体機能不全、 高プロラクチン血症
男性不妊症 大部分は造精機能障害。ほかに精子通過障害やインポテンス
所見
①基礎体温:二相性に分かれ、かつ高温期が長ければ妊娠できる可能性は高い。 低温相と高温相の差は0.3℃以上、また月経開始時に高温相から低温相に顕著に下降す るのが正常。高温期が10日以内であれば、黄体機能不全を疑う。 ※黄体機能不全:排卵後に形成される黄体からのエストロゲン・プロゲステロンの分泌不全により、 子宮内膜が十分な厚さにならない状態
②乳房:乳房の発育が悪ければ女性ホルモンの低下の可能性あり
③乳汁漏:高プロラクチン血症を疑う。無月経や過少月経の可能性
高プロラクチン血症:催乳ホルモン分泌亢進。 子を産んでもいないのに乳汁分泌がある。授乳状態の体内環境になっているので、生理は 停止し、妊娠もしない(不妊症の原因)。性欲低下もする。単なるストレスが原因で生ず ることもあるが、下垂体性(下垂体腫瘍、シモンズ病)や薬剤性も多い
④男性化徴候:全身の発毛状態、声調、体格など。女性ホルモン投与で改善の可能性 がある
機能性不妊症について
女性の機能性不妊症
受精卵が着床するためには、子宮内膜の血流量が豊富であることが、妊娠における重要な条 件であることが知られている。血流量を減少させる要因となっているのが「ストレス」である。 ストレスがあると、鬱血の増大および末梢循環を減少させ、「冷え」をひどくする元凶とな る。冷えが瘀血を生じて、子宮・卵巣・卵管の血流量を減少させてしまうと、おのずと卵胞の 発育成熟も遅れて無排卵になる。同時に子宮頸管粘液の分泌機能に障害をきたして授精・着床 障害を起こすことも考えられる
2)男性の機能性不妊症 男性不妊症の原因として、特発性(=原因不明の)造精機能障害があり、効果のある治療薬 もない。ただ末梢血管を拡張させ、血流量を増加させる薬剤は、男子不眠症患者の可能性があ るとする見解がある
不妊症の現代医学的治療
問題点 不妊症の現代医療を受けても妊娠率は2 0%前後と低い。高度生殖医療を受けても、 妊娠率は3 0%程度にとどまる
治療法 ①排卵誘発剤:無排卵症では高温期はないが、月経がくることもある。これを無排卵 月経とよぶ。排卵誘発剤(ゴナドトロピンなど)による排卵誘発法を行なう。 ②人工授精:精液を婦人の子宮内腔に細いチューブを使って注入。成功率2割。成功 例では4回以内で7割が妊娠に成功する。これで妊娠できないならば体外受精を 検討する。 ③体外授精:麻酔下で卵胞に針を刺して吸引する。それを培養した後、精子を加えて 授精させる。授精し細胞分裂した卵のうち3個程度を細いチューブを使って子宮 内に注入する。2回以内で8割が妊娠に成功する。平均成功率は4割。 卵管通過障害では、本治療を行う