アキレス腱炎
アキレス腱は下腿三頭筋(腓腹筋・ヒラメ筋)と踵をつなぐ強靭な腱で、踵骨隆起に付着する。 つま先で地面を蹴るような動作やつま先立ちの姿勢で、下腿三頭筋が収縮するとアキレス腱は 上に引っ張られ、踵が挙上する
病態
急性型:ダッシュやジャンプ・着地などで、過度に足首の底屈や背屈が強制された場合
慢性型:オーバーユースによる。アキレス腱の老化は思春期を過ぎた比較的早期に始まる
症状 アキレス腱上に圧痛出現。初期では運動開始時に痛く、少し運動を継続して温まってくると 痛みが軽くなる。軽い運動では痛まず、激しい運動で痛み出現する。慢性化すると腫脹が強く なり、アキレス腱部の圧痛、硬結、動作時の握雪音(腱と皮膚の間がギシギシ、キュッキュッ と音をたてる)がする
理学検査
壁に向かって立ち、体重をかけた状態で、膝伸展位で床から踵を浮かないようにして、膝を 前に押し出すことにより、足関節を背屈させると、痛みの再現ができる。 (単に膝伸展位で足関節を背屈させるだけでは不十分)
アキレス腱周囲炎
アキレス腱は、腱傍組織(パラテノン)という鞘のような膜に覆われている。この腱傍組織 は腱を保護し、腱の滑りをよくする働きある。過度の足首の運動では、この腱傍組織が周囲組 織の摩擦運動により痛みや機能障害を引き起こすことがある。スポーツでは長距離ランナーが 圧倒的に多い
症状:アキレス腱炎とほぼ同じ。圧痛は腱の内側または外側に限局している
アキレス腱滑液包炎
袋状で潤滑油が入ったクッションの役割をする滑液包の炎症で、踵部のの皮膚とアキレス腱の 間(アキレス腱後滑液包炎)、またアキレス腱と踵骨の間(アキレス腱前滑液包炎)に起こる。 スポーツ活動以外でも起こり、比較的若い女性に多くみ られる。ハイヒールのような全体の細い靴や、かかとの部分 が硬い靴では、踵後部の軟部組織が機械的に刺激される。 症状は主に踵後部の腫れと熱感である
アキレス腱付着部症
踵骨上のアキレス腱が慢性的に牽引されることが原因で、 座ることが多い生活習慣,肥満,運動選手の酷使から起こ る収縮または短縮した腓腹筋が要因である。 アキレス腱の踵骨付着部は2相性になっていて、中央部の 線維は踵骨隆起中央部に、側方部の線維は踵骨の内外側に扇 形に開いて付着している。圧痛を示すのは骨隆起の先端の内 側または外側である