捻挫の重症度
1度:靱帯の伸張のみ 症状:腫脹と軽度の痛み。可動域制限なし。 体重をかけて痛みがなければプレー可能。 治療:安静、テーピング必要
2度:靱帯の部分断裂 症状:ある方向に動かすと痛む。関節腫脹、強い疼痛、関節血腫。放置すれば関節機能障害 治療:捻挫の後、関部を圧迫し、心臓より高く上げて冷却(痛めた関節を、氷水の中に15分~30分入れて冷やす)。安静は24時間~48時間。翌日は受診が必要
処置:ギプス固定3~5週、その後に筋力強化訓練 最近ではギプス固定すると固有知覚を障害するので、治癒が遅れるとされ、 サポーター程度の弱い固定の方が好ましい、と考えるようになった
3度:靱帯の完全断裂 症状:関節不安定(異常可動性)で動作困難 治療:現場の応急処置として、患部を圧迫し、心臓より高く上げて冷却。(氷水中で徹底的 に冷やす)。圧迫したまま、医療機関で受診する。 処置:ギブス固定、機能的装具療法、手術療法(靭帯再建術) 8週~10週に競技復帰を目指して治療を行う
捻挫 症状と処置
①炎症過程(急性期) 捻挫では関節包靱帯を損傷し、関節包靱帯の内面の滑膜層に炎症性の腫脹が発生する。腫 脹の中身は滑膜層からの分泌物で、これが関節包の中に充満すると関節の可動範囲が狭まり、 疼痛が発生する。 関節包靱帯やそれを補強する側副靱帯などが部分断裂を起こすと、その部分より出血を生 じ、見た目にも青黒く皮下出血斑が広がっているのが確認できる。 そのため、いち早いRICE処置が必要となる
②消炎期(治癒期) 3~4日の急性期が終わると、腫れも落ち着き、各組織が移動を始めて新しい組織を生み 出す準備を開始し、組織修復が始まる。この頃になると、最初の炎症期のような激しい痛み はなくなる
③再生期(修復期) 腫れが引き、治癒の準備ができると組織は再生と修復を始める。筋肉や腱、靭帯などの組 織は、受傷後3~4日して瘢痕組織を形成してしばらくの間、補強され、数ヶ月後にはほと んど元の組織に回復します。この瘢痕が存在する時期は、捻挫を再発しやすい時期でもある。 この時期に捻挫を繰り返して瘢痕組織を傷つけると、捻挫が慢性化してしまう。 また受傷後の毛細血管はケガから2~3日で修復を開始し、新しい血管を形成していく。 この段階は約4ヶ月も続くことがある。 新しい組織が強い構造(ケガの前の正常な構造配列)を形成するためには、ある程度のス トレス(運動)が必要なことから、適切なリハビリが重要になる