②至陽・霊台(反応の強い方を選択)
位置:霊台は第6胸椎棘突起下、至陽は第7胸椎棘突起下
適応:久咳、慢性の咳。慢性気管支炎
2)横隔膜神経反応
肺は横隔膜隣接臓器なので、肺疾患時は横隔膜神経を興奮させ、C3C4デルマトーム領域
である頸肩筋(頸部の後方・側方・前方の諸筋と肩甲上部僧帽筋、肩甲挙筋、横隔膜など)
に痛みやコリを起こしやすい。この頸肩症状を緩めることが、肺症状の緩和に役立つ。
3)肺・気管支症状の治療点まとめ
肺・気管支症状(咳・痰)の基本的針灸治療
頸肩コリ治療(C3C4横隔膜神経刺激)
Th1~Th5起立筋上肺・気管支第1~第5胸骨傍点
座位にて強刺激治療をする
4)治療効果
下気道や肺疾患に起因する咳や痰症状の改善は、針灸しても効果に乏しい場合が多く、効果
のある例でも一過性にとどまる傾向にある。針灸が効果ある例では、毎日の自宅施灸を行わせ、
毎日を体調よく過ごすことを目標にする。病像のかなり進行した者や、高齢者にはあまり効果
はない。
5)繊毛運動の活発化の治療
乾性咳は「鎮咳」、湿性咳は「去痰」が治療目標になる。「去痰」とは、痰を消滅
させることではなく(それは最終目標)、痰を容易に排出させることである。痰の多
い状態では気道感染も起こりやすくなる。
気管と大中気管支には繊毛があり、痰や異物を上方へ送る運動をしているが、繊毛
運動は交感神経興奮で活発化することが知られる。背中や胸を叩くと痰や異物を出や
すくなることは経験上よく行われる。この目的のため、胸骨付近や上背部に交感神経
興奮目的で刺激するとよい。針灸は、喀痰排出を容易にする効果があるようで、よく
効く。暴飲暴食後に嘔吐を誘発させるには、背中をこすり、胃の副交感神経を優位にする。
気管支喘息の鍼灸診療
1.気管支喘息の概略
1)原因
これまで気管支喘息は気管支が痙攣などで、一時的に狭くなる病気だと考えられて
きたため、痙攣を鎮め気管支を広げる薬(気管支拡張剤)が治療の主体だった。しか
しこの十数年来、気管支粘膜が炎症を起こして腫脹し、粘液がたまって空気の通り道
が狭くなる慢性の病気と考えられるようになってきた。
気道閉塞のメカニズム
気道炎
遺伝的要素→ 気道過敏性→ 気道閉塞→ 喘息症状
引きがね(トリガー)
2)分類
①外因性≒アトピー性(とくにⅠ型アレルギー)
特徴:吸入性・食餌性抗原、若年発症(35才以下)
機序:抗原暴露→IgE抗体産生→肥満細胞破裂→ヒスタミン症状出現(血管透過
性亢進、平滑筋収縮、粘液分泌亢進)