顔面痛の分類
神経痛性として、三叉神経痛、舌咽神経痛、顔面神経膝神経痛がある。
血管性として群発性頭痛、片頭痛がある。
1)舌咽神経痛:まれな疾患で、血管が舌咽神経を圧迫して神経痛を生じたもの。嚥下時に、
咽頭部や口腔に、発作性の電撃様疼痛が生ずる。扁桃炎時の咽痛は舌咽神経痛による。
上咽頭知覚→三叉神経第2枝支配(鼻~上顎痛)
中咽頭知覚→舌咽神経支配(舌根~咽痛) 扁桃炎時の痛み
下咽頭知覚→迷走神経の枝である上喉頭神経支配(舌骨~喉痛)
2)顔面神経の膝神経痛:顔面神経の大部分は運動性であるが、膝神経節部には知覚がある。
顔面神経膝神経は、外耳道と耳介中央部を知覚支配する(典型はハント症候群時の耳痛)。
※舌咽神経痛と膝神経痛の鑑別:嚥下痛あれば、舌咽神経痛。なければ膝神経痛。
※中耳と鼓膜の知覚は、舌咽神経の枝の鼓室神経支配。内耳は知覚支配なし(痛むことはない)。
3)群発性頭痛と片頭痛:動脈血管伸張痛である。これらは「頭痛」に分類されるが、群発性頭
痛(頭蓋内血管痛)はコメカミや片眼の痛みの激痛である。片頭痛(頭蓋外血管痛)も
同部の痛みを訴えることがあるので鑑別の要あり。
神経痛非定型的顔面痛
代表疾患三叉神経痛群発性頭痛、片頭痛
原因知覚神経の興奮動脈血管の拡張・痙攣
症状の特徴発作性(非発作時は痛みなし) 神経痛と比べ、痛む範囲が広い
痛みは瞬間的。
神経分布に一致痛みは持続的
トリガーあり トリガーなし
三叉神経痛
1)三叉神経の走行と圧痛点
三叉神軽は第5脳神経として橋から出た後、こめかみ部で三叉神経節(ガッセル神経節ある
いは半月神径節)を形成し、3枝に分かれて以下の顔面部分の知覚を担当する。
要点
眼(角膜)は第1枝
鼻梁は第1枝、鼻翼は第2枝
鼻腔と副鼻腔は、第1枝と第2枝
上唇と上歯は第2枝
下唇と下歯は第3枝
舌前2/3と口腔粘膜の知覚は第3枝
味覚知覚
舌前2/3 顔面神経三叉神経
(鼓索神経) (舌神経)
舌後1/3 舌咽神経
①三叉神経第1枝(眼神経)
a.神経走行:上眼窩裂から眼窩に入り、前額・上眼瞼・鼻根・鼻梁を知覚支配
上眼窩裂
半月神経節-上眼窩裂-前頭神経滑車上神経→前額~頭頂部へ分布
上眼窩裂- 眼窩上神経→前額~頭頂部へ分布
眼窩上切痕
b.眼窩上神経ブロック点
上眼窩切痕。眉毛の上縁側で、正中から
外方2.5~3㎝。
②三叉神経第2枝(上顎神経)
a.神経走行:正円孔を通り、頬上部、鼻翼、上唇を支配
正円孔眼窩下孔
半月神経節-正円孔眼窩下神経-眼窩下孔→ 頬部へ分布
上歯槽神経→ 上歯槽へ分布
b.眼窩下神経ブロック点
眼窩下孔から頭蓋骨の表面に出る。眼窩の下縁中央から下1㎝の部。