エストロゲンは男性のテストステロンに相当するものだが、プロゲステロンは男性に対比すべきものがない。その理由は、エストロゲンやテストステロンが卵子や精子の製造、すなわち生命の誕生の役割があるのに対して、プロゲステロンは受精卵を体内で育てるという女性特有の役割があるためである。
排卵期を決定するのは視床下部で、この指令に基づき下垂体前葉は性腺刺激ホルモン
(ゴナドトロピン=黄体形成ホルモン+卵胞刺激ホルモン)を分泌する。それ以前はエストロゲン優位であり低温期で体調が良い。それ以降は高温期で、体調が悪くなりやすい(←妊娠に備える)。
3.受精から妊娠まで
1)受精
成熟卵が卵巣から排出され、膣から上がってきた精子と卵管膨大部で会合し、受精卵になる。
2)着床
受精卵は細胞分裂を繰り返しながら卵管を下降し、子宮内膜に付着する。これを着床と
よぶ。着床によって妊娠が成立する。
3)胎盤
着床後に受精卵は胎盤をつくり、胎盤から栄養を摂取する。胎盤はヒト絨毛性ゴナドトロピ
ンを分泌し、排卵後にできた卵巣の黄体を連続刺激するので、プロゲステロン産生を持続させ
る作用があり、これにより排卵・月経は阻止される。
性腺刺激ホルモン下垂体性
(ゴナドトロピン) ①排卵日を決定
②排卵誘発剤←不妊症の治療として使用。自然排卵では一度に一つ
の排卵だが、本剤使用により複数排卵となる結果、多胎妊娠になることが多い。
胎盤性(絨毛性)
①出産までプロゲステロンの分泌(妊娠環境維持)
②つわり(妊娠6~7週から出現し、1~2ヶ月続く)を起こす。
③妊娠判定←尿中の胎盤性ゴナドトロピン検査
3)妊娠の判定
①基礎体温を調べている女性では、高温期が3週間以上続く(2週間は正常)こと
で妊娠を疑う。基礎体温を調べていない女性では、あるべき月経が1週間たっても
来ない場合に妊娠を疑う。
②妊娠の正確な判定は、尿中にゴナドトロピン排出の確認による。
避妊(受胎調節)
避妊法には、基礎体温法と荻野法がある。ほかに女性側でできるものとして、ピル(正式には混合型経口避妊薬)がある。ピルは毎日服用を必要とする。ピルとは、プロゲステロンとエストロゲンの混合薬剤のことで、プロゲステロン投与により、疑似妊娠状況をつくる。この結果、子宮内膜が肥厚して子宮がんの危険が増すが、エストロゲンを加えることで子宮内膜の肥厚を制限している。
ピルの副作用:ピルの副作用は血栓症や高血圧、子宮癌など。ただし現在、日本では年間40万人が中絶手術しており、人工流産の危険性を考慮すると、ピルだけを危険視できない。