ゴナドトロピンとは性腺刺激ホルモンのことで、LH(黄体形成H)とFSH(卵胞刺激H)の
総称。
テストステロン:アンドロゲン(男性ホルモンの総称)の代表で最も強力。主に睾丸から分泌。
さらに視床下部の興奮が、大脳辺縁系の上位中枢に伝達されて人間的な性欲反応が生ずる。
大脳大脳新皮質:理性
大脳辺縁系視床下部:生存
大脳古皮質:本能(食欲、性欲、睡眠欲、集団欲
大脳旧皮質:情動(喜怒哀楽)
2)性欲低下を生ずる器質的疾患(広義のインポテンス)
①肝機能障害
エストロゲンの不活性化障害。女性化乳房。男性にも女性ホルモン(エストロゲ
ン)は分泌されているが、肝の解毒作用により分解される。肝硬変では、解毒能力
が低下しているのでエストロゲンが残り、女性化乳房をきたす。
②高プロラクチン血症
下垂体前葉から出るプロラクチン(催乳ホルモン)分泌過剰。女性においては乳
汁分泌促進作用、排卵抑制作用をもつ。出産後でもないのに母乳が出る。
高プロラクチン血症では、不妊作用と性欲抑制作用がある。
3.勃起
1)勃起の機序
視床下部には上位勃起中枢があり、仙髄には下位勃起中枢がある。
上位勃起中枢は視聴覚や触覚などによる刺激で興奮する。
下位勃起中枢は上位勃起中枢からの神経入力や、性器の機械的刺激、精子充満や膀胱の尿充
満刺激が、陰部神経(体性神経)の後根を経て仙髄(下位勃起中枢)に達し、骨盤神経
の反射路に到って、骨盤神経(S2~S4)が興奮し、陰茎動脈の拡張と静脈の収縮
が起こることで陰茎海綿体が充血する。これを勃起という。
仙骨部の副交感神経系の別名を、勃起神経という。
性的興奮を伴わない勃起(膀胱充満時など)では、下位勃起中枢のみ興奮する。
上位勃起中枢ホルモン系(性欲) 神経系(勃起)
視聴覚や触覚刺激→ 視床下部
古・旧皮質
神経伝達↓
視床下部
下位勃起中枢<上位勃起中枢>
性器の機械的刺激→ 仙髄テ
(陰部神経) ス神
↓ ト経
骨盤神経興奮によるス下垂体前葉系
陰茎海綿体充血テ
ロゴナドトロピン
ン
睾丸
仙髄
<下位勃起中枢> 性器刺激
骨盤神経
陰部神経
2)勃起力低下を生ずる器質的疾患(狭義のインポテンス)
インポテンスの原因は、器質的2 3%、機能性7 2%、不明5%であり、そのうち心因
性のものは全体の6 8%を占めるという報告がある。
①糖尿病
糖尿病性末梢神経炎による勃起不全。糖尿病では血管障害と神経障害が出現する
が、血流障害は陰茎への血液流入障害として、神経障害は自律神経障害として出現
する。糖尿病者の3~6割が性機能障害をともなう。
②降圧剤:薬剤性では最も多いとされる。原因不明。
③前立腺摘出手術:前立腺のすくそばに勃起をつかさどる神経があるため、前立腺摘
出手術を受けると神経が傷つくことがある。