高血圧症
1.正常血圧値 ①WHOの合意事項(1 9 9 9年) ・理想的血圧値:収縮期血圧120㎜Hg以下/拡張期血圧80㎜Hg以下 ・高齢者の高血圧では降圧剤を使い、130-139/85-89のレベルにまで下げるべき。 ②日本高血圧学会の国内独自基準(2 0 0 0年) 最高(収縮期)血圧最低(拡張期)血圧 若年・中年・糖尿病者130未満85未満 60才台140以下 高齢者70才台150~160以下90以下 80才台160~170以下 2.血圧測定 1)血圧測定法 ①触診法:橈骨動脈を触診。最高血圧のみ知ることがで きる。聴診法に比べ、最高血圧値は低めになる。 ②聴診法:上腕動脈の血管音(コロトコフ音)を聴取。 スワンの第1点(血管音聴取開始)→最高血圧 スワンの第5点(血管音消失)→最低血圧 2)血圧に関する用語 ①脈圧:最高血圧と最低血圧の差 ②平均血圧:心臓の1周期間の動脈内圧の平均値で、 最低血圧+(脈圧/3)で示される。
例:BP160/70の場合、脈圧:160-70=90 ㎜Hg、平均血圧:70+90/3=100㎜Hg 4.高血圧の原因分類 本態性(8割) 症候性腎(実質)性高血圧:急性糸球体腎炎、腎不全など 腎血管性高血圧 内分泌性:クッシング症候群、原発性アルドステロン症、褐色細胞腫 1)腎性高血圧 腎機能障害→ナトリウム排泄障害による体液量の増加→高血圧 代表疾患は糸球体腎炎、腎不全。二次性高血圧で最も高頻度。腎疾患患者を診療する際に は毎回血圧を調べ、腎性高血圧の有無や程度を調べる必要がある。 2)腎血管性高血圧 腎動脈狭窄による腎の虚血性障害→代償的に腎臓から昇圧物質産出→高血圧 昇圧物質→①腎から分泌される昇圧物質レニン、②副腎からのアルドステロン 3)内分泌性高血圧 副腎の良性腫瘍が原因であることが多い。腫瘍を外科手術で摘出し治療を行う。 ①クッシング症候群 原因:下垂体前葉からの副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の過剰分泌。 実際には、副腎皮質ホルモンの長期投与による医原性がほとんど。 症状:高血圧、高脂血症、満月様顔貌、低K血症 ②褐色細胞腫 原因:副腎皮質腫瘍によるカテコールアミン(アドレナリンやノルアドレナリン)過剰分泌 症状:若年者に好発、易変動性高血圧、基礎代謝亢進(いらいら、動悸) 語呂:褐色(褐色細胞腫)のアミタイツ過剰(カテコールアミン過剰) ③原発性アルドステロン症(別名:コン症候群) 原因:副腎皮質内の良性腫瘍。副腎皮質ホルモン分泌↑症状。 症状:高血圧、低K血症(テタニー、知覚異常、筋力低下、四肢麻痺)