トリガーポイントを「感作部位(過敏な部位)」と呼んでいる。トリガーポイントは押圧、 刺鍼するとズンとする知覚=関連痛が生じるところで、異構造接合部(筋・骨/腱・骨接合部) に形成される事が多い。感作部位(=トリガーポイント)の中で運動器の痛みの原因(発生源) になった所を発痛部(責任トリガーポイント)と呼んでいる
トリガーポイントは刺激(押圧・刺鍼)するとズンとするところ(鈍痛)。責任トリガーポイントは刺激すると「私の痛いところに当たった(発生源認知=自発痛がある場合)」、「あの時の痛みだ(同一性認知=運動痛の場合)」と自覚される部位で、痛みの発生源である
関連痛
刺激すると遠隔部や周囲などに痛み、響き感覚が伝播する現象。トリガーポイントのみに起こる現象ではなく、内臓から運動器に伝播する関連痛もよく知られている。 痛みの伝導路は痛みしか伝えない。どこが痛いのかは別の神経システムが必要となる。 場所が分かるのは視覚のみである。視覚を伴わない限り(痛い所が見えない と)、痛いと云うことは分かっても、痛いところは分からないので、痛い所を間違える(錯覚 してしまう)
発生源認知
痛みを現に感じている状態で、その痛みの発生源を刺激されると「私の痛 いところに当たった」と認知される高次の脳活動を指す。この認知が、責任トリガーポイントに鍼が当たった時も生じる。自発痛では痛みの求心性線維が発痛部から神経インパルスを発信中であり、発生源刺激により信号の数が増え、振幅も増大する。これを察知して皮質は発生源が刺激されたと解釈・認知している。 また運動痛の場合に責任TPが刺激され、痛みが生じると「あの時の痛み(と同じ痛み)だ」 と知覚する事があり、それを同一性認知と呼んでいる(トラベルは症状再現と呼んだ)。刺激 して今生じた痛みを記憶している痛みと比較するためどうしても曖昧になり、「症状再現」を報告したものの、本当に同じか自信のない患者が多い
運動痛
立つ、座る、曲げる、伸ばすなど体を動かした時に生じる痛み(自発痛の増悪と は全く別物)。中空臓器や運動器の痛みの特徴で、後者の運動痛はTP治療の適応となる。 軽い運動によって生じる非炎症性の痛みの受容器が侵害受容器とは考えられず、他の知見と併せて、運動痛は機械受容性疼痛と考えている
自発痛
体を動かさず、じっとしていても自覚する痛みの事。一般的に「ズキズキする」、「うずく」と表現される事が多い。 しかし座位においても姿勢維持のための筋収縮は存在し、また仰臥位においても多裂筋 が罹患している場合、その姿勢で収縮して発痛するという現象もあるので鑑別に注意を要 する。 就寝時の痛み(夜間痛は安静時痛と就寝時の痛みを合わせた概念)が真の安静時痛で、横になっているにも拘わらず、どこかが痛ければ炎症・傷害による侵害受容性疼痛が疑われる。 運動器の自発痛を鎮痛するには、鍼のみでなく消炎鎮痛剤の服用が必要になる
収縮痛
筋を収縮させた(縮めた)時に出る痛み
短縮痛
筋を他動的に縮めた時に出る痛み(最も痛い)
伸張痛
筋が伸ばされたときに出る痛み
圧迫痛
圧迫されたときに出る痛み