足冷に咳をすること(自験例) 冷え性ではないが、寒冷時に布団に入った後、いくら待っても足が温まらず、寝つけないことがある。あ る晩、そうした中で、たままた5~6回咳が連続して出た。するとその直後から足に熱い血の流れを感じ、足 が温まることを経験した。ついで今度は意識的に咳をしてみると、さらに足が暖まった
咳をする→副交感 神経緊張→下肢動脈血管壁拡張→足冷の改善という機序が考案できる。 布団に入り身体が温まると、咳が出ると訴える者がいる(筆者もそうであるが)。これは副交感神経緊張 →咳という機序が考案できるが、自ら咳をすることが副交感神経緊張に導くことができることを発見した
5.根底に冷えがある疾患・症状 東洋医学では、「冷え」を非常に重視している。一見して冷えと関係ない症状であっても、 その真因として、冷えを考えることが多い。
1)胃腸障害 腹部は四肢と異なり、本来核心温度を維持すべき部位である。「寝冷え」などで腹部内臓温 度が下がると、胃腸機能の低下を起こす。消化吸収という本来の仕事を放棄して、胃腸内容物 を下方へと通過させてしまう。この結果、胃腸の蠕動運動亢進→下痢腹痛となる
2)膀胱炎 膀胱部の血流が悪くなると、免疫機能が低下し、健常時ならば無害な常在細菌(おもに大腸 菌)にも容易に感染し、膀胱炎(排尿時痛、尿混濁、残尿感)となる。とくに女性は尿道が短 いので、細菌が膀胱まで侵入しやすいので、男性に比べて膀胱炎を起こしやすい
3)Ⅰ型アレルギー 気管支喘息・アトピー性皮膚炎・鼻アレルギーに代表されるⅠ型アレルギー疾患では、アレ ルゲンの感作によりヒスタミンなどの血管拡張物質が放出される。血管拡張物質は、外気温と は無関係に、一方的に血管を拡張させ、結果的に放熱を盛んにするので冷えを生じやすい
4)不眠 手足に冷えがあると、それが苦になって入眠を妨げる。また睡眠の本質的目的は、加熱状態 にある脳の冷却にあるので、体温が低ければ、睡眠総量が減少することになる
5)めまい・立ちくらみ 起立性低血圧では、急に立ち上がる際、めまい・立ちくらみが起こる。これは起立時に起こ るべき四肢末梢血管収縮が不十分なため、一過性脳虚血が起こることが多い。 とくに寒冷時に、末梢血管があまり収縮しない状況では、末梢血管抵抗が減少して起立性 低血圧を起こしやすくなる