半月板損傷
1)半月板の役割 膝関節は、体重負荷が大きいことと、歩行や走行で酷使されることから、大腿骨と脛骨間に、 半月板とよばれる線維性軟骨がある。半月板には、脛骨と大腿骨との間の圧を分散させ、関節 の弾性を増し、関節の辷りをよくする役割がある
2)原因 スポーツ時に膝に外力が加わり、過剰な 運動を強制されたときに起こりやすい。わ が国では外側半月板損傷が多い(世界的に は内側半月板損傷の方が多い)。 加わる外力によって、縦断裂、横断裂、 水平断裂、さらに半月板付着部の剥離が生 ずる
3)症状・所見 突然、膝の激痛が生じ、活動を停止する重篤感がある。2~3時間後には膝関節腫脹し、膝 関節の嵌頓が出現する。そのほかに疼痛、弾撥現象、雑音、膝折れ(膝くずれ)現象が特徴。 血腫は少ない。内側半月板損傷時の圧痛は内側関節裂隙の後方に、外側半月板損傷時の圧痛は 外側関節裂隙のやや前方にみられる。 軽度断裂では、受傷機転不明で、膝にひっかかり感が生ずるのみの者もいる
嵌頓locking:半月板の断裂片や軟骨遊離体が大腿脛骨関節裂隙にはさまり、関節が動かくなる現象
弾撥現象:屈伸の一定角度で制限され、力を入れると屈伸可能となる現象。クリックは、軽度の弾撥現象
膝折れgiving way :歩行中や階段を下りる際、突然膝の力が抜けてガクンと膝折れとなる現象
靱帯損傷
1)膝の靱帯の役割 膝には大きな体重負荷がかかるので、関節は強力に靱帯補強されている。前方への動揺防止 目的に前十字靱帯、後方への動揺防止目的に後十字靱帯がある。外反動揺防止に内側側副靱帯、 内反動揺防止に外側側副靱帯がある。
2)側副靱帯損傷 ①原因
a.内側側副靱帯損傷:膝の靱帯損傷の8割を占めるのが内側側副靱帯損傷。外反が強制さ れて発症する。
※複合損傷としては、内側側副靱帯損傷は、前十字靱帯損傷と合併が多い。これら2者 に内側半月板損傷が加わったものが、膝の代表的な重症な外傷で、Unhappy triad (不幸の三角形)とよばれる。なお単独の損傷でも、側副靱帯損傷は外側より内側が多く、十字靱帯損傷は後より 前が多く、半月板損傷は外側より内側が多い
b.外側側副靱帯損傷:頻度は少ない。膝の内側から外力が加わり、内反が強制されて起こ る。またO脚など膝の内反変形に伴い、疲労性炎症としても生ずる。 ②症状・所見 膝の疼痛、側方不安定感、靱帯部の圧痛がみられ、陳旧化すると動揺関節を呈する
第1度:靱帯線維の一部断裂。 外反・内反強制テストは正常。不安定感なし。 保存療法実施。針灸適応。 第2度:靱帯断裂あるが連続性あり。 膝30 度屈曲位にての強制内反外反テスト(+)、 膝伸展位では正常。保存療法にて治療 第3度:靱帯の完全断裂で不安定性がある。 膝伸展位にての強制内反外反テスト(+)。 普通は保存療法でよいが、手術の適応になることもある