3)側頭筋刺激
眼疾患全般に側頭筋への刺針を用いる頻度が高い。この理由は不明だが、三叉神経支配であ
ることまた側頭筋がストレス筋であること、が関係すると考えている。
側頭筋刺針は、結膜炎などでの眼の充血にも効果があるようである。
三叉神経支配であること顔面表情筋は顔面神経だが、咀嚼筋(側頭筋、咬筋、内側翼突筋、
外側翼突筋)は三叉神経第3枝支配である。
眼の痛覚は三叉神経第1枝が支配しているが、第3枝刺激をしても半月神経節を介して、第1枝にも何ら
かの影響を与えると考えられる。ストレス筋であること
動物は外敵に遭遇すると、逃げるか戦うかを判断する。この時身体はストレス状態となっており、この状況で緊張する筋
をストレス筋とよぶ。逃げる際に活動するのは四肢の筋である。戦う際、威嚇時には僧帽
筋が関係し、噛みつき攻撃では咀嚼筋が関係する。側頭筋は最大の咀嚼筋であり、逆にこ
の筋を緩めることがリラクセーションにつながる。視力をはっきりさせる目的では、逆に
側頭筋に強刺激を与える方がよい。
①太陽穴刺針
位置:こめかみ部。眉毛の外端と外眼角との中点から、後1寸の陥凹部。
刺針:直刺1寸。刺絡も有効(内出血が起こりやすい)
解説:浅層に側頭筋膜(浅葉と深葉)があり、深層に側頭筋がある。頭痛でこめかみ部が
痛くなることがあるのは、この筋膜によるものであろう
瞳子髎から耳のほうへ少し寄って一面に圧痛がある。ここへ太い針を
刺す。私は注射針にてヤトレンカゼインを薄めたものをごく少量注射する。多くは針を抜
くとタラタラと出血する。なるべくこの出血を十分出すように絞る。充血と流涙で目が開
けられなかった者が、帰途にはパッチリとあくといったケ-スがよく見られる。
②側頭筋部(頷厭、懸顱、懸釐)刺針
位置:頭維(額角髪際の後方1寸)から客主人(頬骨の中央上際)に向かう線上で側頭筋部
をもむと痛むスジがある。上記3穴はこのライン上に取穴。噛む動作で動く処で、いわゆ
るコメカミの部。頭維の下1寸に頷厭、その下1寸が懸顱、さらにその下1寸が懸釐。
刺針:できるだけ開口させ、側頭筋を伸張させた状態で、細針にて3穴透刺
目の症状は側頭筋の頭維付近から客主人付近のしこりが関係する。こ
の薄い筋に十分ステロイド稀釈液を浸潤する。痛みを感ずる時はうまくいった時である。
さらに項筋にも注射する。このようにすると、視力減退、流涙しやすい、不定の眼痛等の
症状が2 ~ 3 回の治療で良くなる。逆まつげまでも良くなる。