6.網膜剥離
1)概念と病態生理
網膜が脈絡膜から剥がれた状態。網膜は脈絡膜から栄養補給されているので、この状態にな
ると網膜へ栄養補給できなくなる。加齢の他、ボクシング選手で起こりやすい。
2)症状:光視症、飛蚊症、急速に進行する視野欠損
①飛蚊症:剥離時、網膜の血管が切れると小さな出血が起こり、それらが黒っぽい影となって
目の前にチラチラ見えだす。
②光視症:眼球の動きにつれて硝子体が動き、網膜が牽引されて生ずる。暗いところでも稲妻
のように光が見える。
③視野欠損
3)治療:手術により、8~9割が治癒する。
網膜の物理的な損傷なので、原則として鍼灸治療の対象とはならない。
全身疾患の一部としての眼症状
1.糖尿病性網膜症
1)概念:糖尿病の三大合併症の一つ。成人の失明原因で最多。(2番目は緑内障による失明)
2)病態生理
網膜の微小な血管が、糖分が多く粘性の高い血液のために塞栓や出血を起こし、酸
素や栄養分が不足する。新しい血管もできるが、脆くて破れやすいため眼底出血を繰
り返し、網膜が変性する。
3)症状:ぼんやり見える、飛蚊症、像の歪み
糖尿病による目の異常は比較的遅く進行するので、気づいた時は手遅れという
ケースが少なくない。糖尿病歴25年で、網膜症がある。最終的には失明に至る。
糖尿病が進行すると細い動脈がボロボロになる。眼底や腎や下肢末梢動脈は比較的細い動脈
であることから、導尿病の三大合併症は、糖尿病生網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性末
梢神経障害とされている。
眼の糖尿病合併症に、糖尿病性白内障(房水も高血糖になる)もある。
①糖尿病性腎症
過度の肥満→糖尿病→糖尿病性腎症→透析という定番コースがある。
糖が腎臓組織内に入り込み、タンパクと結びつくなどして組織が変質し、腎臓
の濾過機能を低下させる。糖尿病性腎症から透析が必要になる人の割合は3割。
②糖尿病性末梢神経障害
とくに四肢末梢の感覚神経が障害を受け、痛み・しびれ・こむら返りが起こる。
下肢末梢の動脈が壊死すれば、切断に至ることもある。
2.ベーチェット病
1)概念:20~40歳の男性に多い。原因不明で治療方法なし。眼症状以外は治癒する。
別名、粘膜眼皮膚症候群。類膠原病。
2)症状
3大症状は、①口腔(初発)と外陰部のアフタ、②ブドウ膜炎、③虹彩炎。
3)予後:眼は再発を繰り返して徐々に悪化し、数年後に失明することが多い。